ダイバーシティの推進
PPIHグループの企業理念集「源流」では、個人の多様性を尊重し認め合うよう謳っています。当社グループの店舗にご来店いただく多種多様な価値観をもつお客さまにご満足いただき、選ばれる店舗であり続けてきた当社グループの強みの1つは、働く従業員が多様性に富み、認め合える土壌を作ってきたことにあります。
私たちは、性別、国籍、障がいの有無など、多様な背景や価値観を持つすべての従業員が安心して活躍できる環境整備を推進していきます。
女性活躍推進
PPIHグループは、毎年6億人を超えるお客さまにご利用いただいており、そのうち半数以上が女性であることから、店舗運営や経営において女性視点のアイデアを取り入れることが重要です。また、最終的にすべての従業員が働きやすく、各自の強みを発揮できる会社となるためには、まずは女性が活躍できる会社となることが第一歩であると考えています。
こうした考えから、お客さまと一番身近な接点である店舗における「女性店長の輩出」と、女性の働きやすい環境の整備状況をはかるために「定着率(離職率)」に関する目標を設定し、採用・定着・登用の各ステージにおいて女性従業員自身の意識改革、上司や周囲の理解促進、働きやすい環境の整備の面で同時多発的にアプローチしています。
PPIHグループ 女性活躍推進目標
目標 | 進捗 | ||
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2022年6月期 | 2023年6月期 | 2024年6月期 | |
女性店長拡大 2026年6月期までに、女性店長を50人 2030年6月期までに、女性店長を100人 |
26人 | 31人 | 39人 |
女性社員の定着率向上 2026年6月期までに、離職率を8.8% 2030年6月期までに、離職率5% |
8.8% | 9.7% | 7.6% |
女性活躍に向けたアプローチ
女性活躍推進の各ステージを全てつながったものと捉え、各ステージの課題に対して同時多発的にアプローチすることで、加速度的かつ持続的な企業成長を実現する循環型プランとして実施していきます。
採用から管理職への登用、社員の成長にいたる各ステージにおいて、関係するあらゆるレイヤー、スタッフの理解と協力が必要不可欠と考え、グループ全体で本題に取り組めるさまざまな施策を企画しています。

女性管理職の育成とキャリア形成支援
当社グループは、女性のエンパワーメント推進の一環として、管理職の育成やキャリア形成を後押しする取り組みを行っております。こうした取り組みの継続により、女性管理職比率は年々向上しており、誰もが自信を持ってキャリアを築ける環境が広がっています。今後も、女性が多様な役割で活躍できる組織づくりを進めていきます。

■女性店長100名の輩出を目指す研修プログラム「RISE!100」
店長の女性比率を向上させる具体策として、店長に必要な心構えや知識・スキルを学ぶ研修プログラム「RISE!100」を2021年5月からスタートしました。各回の受講生から複数名の女性店長が誕生し、女性店長数は着実に伸びています。研修プログラムはダイバーシティ・マネジメント管掌役員が内容を監修し、講義の一部は自らが講師となり研修を実施しています。
店長に必要なスキルやノウハウ、コンプライアンスの知識などを習得するWeb研修(計24回)のほか、現役女性店長との交流会、キャリア相談のための1on1MTGなど、約5か月間にわたる研修プログラムにより、女性社員の店長職に対する不安の払しょくや、社内ネットワークの構築、女性社員のキャリアイメージの形成にもつながっています。研修修了者への定期的なフォローアップを行うとともに、プログラムのさらなる充実を図り、継続的に研修を実施していきます。
■その他の取組み
・カレッジ型キャリアアップセミナー
女性社員を対象に、仕事に必要なスキルやマインドの強化を目的とした外部講師によるセミナーを毎年実施しています。ロジカルシンキングやリーダーシップなど、実践的な9つのテーマから自由に受講できるプログラムを提供しています。
・成長実感セミナー
入社1~3年未満の20代の女性社員を対象に、定着率向上とキャリア形成を目的とした、外部講師によるセミナーを実施しています。これまでの経験を振り返りながら、今後の仕事への向き合い方やキャリアを考えたり、先輩社員・同世代との交流を通じて、自身の成長を促しています。
・活躍する女性従業員の紹介
女性従業員のキャリアアップを目的に、社内で活躍する女性従業員とダイバーシティ・マネジメント管掌役員との対談を定期開催し、社内報に掲載しています。

上司や周囲の理解促進
当社グループでは、相手の立場で発想する「主語の転換」を心がけることを行動規範に定めており、ダイバーシティ推進においても相手への理解を重視しています。
管理職を対象とした「アンコンシャス・バイアス研修」を継続して実施しているほか、女性の部下をもつ管理職に対して自部署の女性社員数や女性管理職比率、退職者数の推移を把握できる報告書の配信、女性特有の体調に関する情報や動画、悩んでいる従業員へのふるまい方をまとめたポータルサイトの設置など、部下や同僚のキャリア形成を前向きに応援する組織醸成に取り組んでいます。
■DM検定の実施
ダイバーシティの理解促進を目的とした施策として、eラーニング形式で学びながら受験できるWeb検定「DM(ダイバーシティ・マネジメント)検定」を実施しています。
2025年6月期には、管理職を対象に、妊娠・出産・育児や介護と仕事の両立など、ライフイベントに関する社内外の制度をテーマに取り上げ実施しました。
働きやすい環境の整備
当社グループでは、女性従業員一人ひとりが自身の能力を発揮できる職場環境の整備に努めています。
例えば、ライフスタイル・ライフイベントに合わせて働き方を選択できるよう「地域限定社員制度」導入しているほか、産休・育休取得から復職までの制度等をまとめた「産休育休取得サポートブック」の配布など、ライフイベントや心身の健康をサポートする取り組みを行っています。
■低用量ピル服用費用の補助制度の導入
PPIHグループの女性社員及び社員のライフパートナーに対して、低用量ピル服用にかかる費用を会社が補助する福利厚生を導入しています。当社グループ国内法人の女性社員および契約社員を対象とした調査によると、約1/4が月経痛により仕事を休んだ経験があることが分かり、その中でも、2~3カ月に一度以上休むという回答は30%にものぼりました。
低用量ピルは避妊だけではなく月経痛やPMS等の改善に有効といわれており、服用費を補助することで女性社員の心身の健康維持をサポートし、能力をさらに発揮しやすい職場づくりに貢献します。また、女性社員だけではなく社員のライフパートナーの服用費も補助対象とすることで、女性の健康課題に対する男性社員の理解促進につなげています。
■その他の取組み
・女性社員を対象とした意識調査
自身のキャリア志向や、働く中での悩み、制度や研修などに関する調査を毎年実施することで、従業員が抱えている課題を把握し、DM委員会が中心となって改善のための施策を立案・実行しています。
第3回 女性社員向け意識調査結果 有効回答数:1,026人 |
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キャリアを積んで昇格・昇給したいと回答した割合 | 64% |
PPIHグループで長く働き続けたいと回答した割合 | 63% |
調査期間:2024年9月5日~2024年9月30日
・女性特有の健康課題に関するポータルサイトの設置
心身の不調をきたす女性特有の健康課題と、その際の対処方法や活用できる制度の情報をまとめているほか、社外取締役による「女性の健康セミナー」の動画を公開し、自らが活躍できる働き方を考えられるようサポートしています。
男女の賃金の差異
当社グループは、「実力主義」を掲げ、性別などの属性に関わらず、職位に応じた役割や責任、能力、成果に応じた人事評価制度を採用しています。当制度により、雇用形態・賃金制度における男女の差異はありません。
しかしながら、相対的に賃金の低い非正規社員のうち7割以上が女性であることや、正社員における上級管理職の女性比率が低いことなどが要因となり、男女間の賃金差異が生じています。
短時間勤務制度や、地域限定社員制度など、ライフステージに応じた柔軟な働き方を支援する環境整備を継続していくとともに、昇格や職位ごとの男女比のモニタリングしながら、女性のキャリア支援や育成、管理職への登用を進めることで男女間の賃金差異解消に取り組んでいきます。
男性の平均年間賃金に対する女性の平均年間賃金の割合(%) | ||
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(%) | 正社員 | 非正規社員 |
国内主要法人合計 | 79.3 | 107.4 |
㈱PPIH | 65.6 | 54.3 |
㈱ドン・キホーテ | 79.5 | 104.3 |
ユニー㈱ | 75.4 | 102.0 |
LGBTQ+の活躍支援
日本における性的マイノリティの割合は約10%という調査結果もあることから、当社グループでは心理的安全性が保たれ、性的マイノリティの当事者が自身をもって業務にあたり、活躍することのできる職場環境の整備を進めています。
PPIHグループが目指すゴール
従業員の理解促進
■LGBTQ+研修の実施
従業員を対象にLGBTQ+の理解を深める研修(集合及びWeb)を実施しており、2024年6月期までに延べ約4万2,000人が受講しました。研修受講後、希望者にアライ(LGBTQ+の理解者)の証であるオリジナルシールを配布、また名刺にもアライの印を入れることができ、LGBTQ+に対する理解を表すことで当事者への心理的安心を促しています。同じ職場で働く一人ひとりが多種多様な個性を認め合い、切磋琢磨しながら最大限の力を発揮できるよう努めています。

LGBTQ+の集合研修の様子

アライ(LGBTQ+の理解者)であることを示す名刺とオリジナルシール
■ポータルサイトを活用した社内浸透
・社内報におけるトップメッセージ
社内ポータルサイトで配信している社内報では、LGBTQ+への理解と活躍支援の重要性について創業会長及び社長がメッセージを掲載しています。これにより、多様性を尊重し、全社員が安心して働くことができる環境を目指す企業の姿勢を社員に示しています。
・特設ページにおける関連コンテンツの掲載
同サイト内に、認定NPO法人ReBitさまのご協力のもとに作成した、LGBTQ+に対する理解を深めるための特設ページを設けており、LGBTQ+に関する基礎知識や研修動画のほか、従業員が日々の業務やコミュニケーションにおいて心がけるべきポイントを紹介しています。さらに、当事者が安心して働ける環境を支援するための福利厚生制度についてもまとめており、全社員が互いの多様性を尊重し、誰もが自分らしく活躍できる職場環境になるよう努めています。
働きやすい環境の整備
■福利厚生
PPIHグループでは、結婚祝金や特別休暇、転勤・借上社宅に関する各種手当をはじめ、独自にパートナーシップを認め、同性パートナーが法律上の配偶者と同様に利用できる社内制度や福利厚生が多数あります。
※グループ会社によって一部、制度や内容が異なります。
・ライフパートナー証明書
独自のオリジナルのライフパートナーシップ届受理証明書を発行
・ライフパートナー結婚祝金
結婚時に祝金を支給
・ライフパートナーの出産時の休暇
ライフパートナーが出産する際に休暇を取得することが可能
・ライフパートナーの家族支援のための時短勤務制度
ライフパートナーの子の養育や親の介護のため、勤務時間の短縮が可能
・ライフパートナー記念品
ライフパートナーの誕生日に合わせて記念品等を贈呈
・ビジネスネームの使用
本名では働きづらいと感じる場合、ビジネスネームの使用が可能
など
■相談窓口の設置
仕事のことだけでなく、様々な悩みを社外の専門カウンセラーに相談できる制度を整えています。アウティング(守秘義務)への配慮も担保されています。

イベントへの協賛
2017年より、「東京レインボープライド」をはじめ、全国各地で行われる性的マイノリティの存在を社会に広め、多様性を祝福するLGBTQ+関連イベントを応援しています。

2024年に協賛したイベント
期間 | イベント名称 |
---|---|
11月2日(土)~11月3日(日) | 九州レインボープライド |
10月26日(土)~10月27日(日) | レインボーフェスタ! |
9月14日(土)~9月15日(日) | さっぽろレインボープライド |
6月15日(土) | 名古屋レインボープライド |
4月19日(金)~4月21日(日) | 東京レインボープライド |
国内における外国籍従業員の活躍
当社グループは、インバウンドのお客さまが来店されること、また海外事業のさらなる拡大を目指していることから、多様な人財が知識や経験を活かしながら事業成長を加速するべく、外国籍従業員の採用を積極的に推進しています。
2024年6月末時点で、国内グループ企業では、正社員420人、メイト(パート・アルバイト)2,834人の外国籍従業員が活躍しています。

障がい者雇用
当社グループでは、障がいがある従業員が、店舗やオフィスなど様々な部署・部門で活躍しています。
※2024年6月期のPPIHグループ(国内)の障がい者雇用率は3.4%(日本法定比率は2.5%)
従業員同士が多様性を認め合い、お互いに助け合いながら、より多くのお客さまに「ワクワク・ドキドキ」をお届けしていくためにも、社内研修を行い、理解を深め合うよう努めています。また、障がいがある方が入社される際には、配慮を周知し、必要なサポートが行えるよう、店舗や部署へ基本的な知識などをまとめたサポートガイドの配布しています。
加えて、障がいがある方の就労支援の一環として、一部の店舗では特別支援学校などの障がい者支援機関を利用される方の職場実習も行っています。

雇用創出の広がり
PPIHグループでは、国内外を合わせ8つの国や地域で合計742店舗を出店し、店舗や事務所で活躍する従業員(※)は17,168名にも上ります(2024年6月期)。
※臨時雇用者除く
企業理念集「源流」のもと、お客さまの暮らしを支え、お買い物の楽しみを提供することを第一に行動することと定め、「顧客親和性」を大切にしています。場所や地域により異なるお客さまのニーズや特性を熟知し、それに合わせた商品やサービスをご提供できるよう、現地における採用を進めており、結果として雇用を通した地域貢献にもつながっています。
