トップメッセージ(2022年9月)
当社グループのステークホルダーの皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
当社グループは2022年6月期(2021年7月1日~2022年6月30日)の連結決算において、1989年のドン・キホーテ1号店の出店以来、33期連続の増収営業増益の記録を更新することができました。ステークホルダーの皆さまにおかれましては、心より感謝申し上げます。
2022年6月期を振り返ると、第1四半期は厳しい外部環境に苦しみましたが、第2、第3、第4の四半期においては、過去最高の売上・利益を記録することができました。当社グループでは、かねてより「営業利益」にフォーカスした営業戦略・方針にシフトしており、その具体策と現場の実践によって業績の改善に努めました。
こうした施策を、現場で実行するには、現場従業員の一体感と実行力なくして実現はできません。また、それこそが当社らしさであり、当社には、主権在現、という言葉もあるぐらいです。当社グループの強みは「人財」にあるのだと私どもは考えております。
当社グループの人財の特徴は、主体的であり、目標達成への強い執着心を持つということです。当社グループのマネジメントの根幹である「権限委譲」は、主体的でない人にとっては苦痛といえますが、当社の人財はそれを渇望し、創意工夫を発揮して挑戦します。
そして、その情熱の向かう先は、当社グループの企業原理「顧客最優先主義」の実現にあります。「源流」には、顧客最優先主義について「顧客は自らの利益と楽しみのために、当社グループ店舗が自分にとって最も好都合な店だからこそ来店し、買い物をするのである。こうした当たり前の状態を、店として常に実現し、維持していかなければ今後の成長も発展もあり得ない」と記されています。
この企業原理を胸に、いかなる環境変化にも傍観することなく、売り場の改善や業態創造によって「顧客にとって最も好都合な店」を形にして成長し続ける。そうした従業員の存在が、当社グループの強みなのです。
当社グループは、コロナ前の2020年2月に発表した「Passion 2030」を改訂し、2022年8月に新たな中長期経営計画「Visionary 2025/2030」を発表しました。この名前の元となるのは、ジム・コリンズ氏の著書による「ビジョナリー・カンパニー」であり、彼は次のように著述しています。
『どんな製品、サービス、すばらしいアイデアも、どれほど優れたビジョンに基づくものであっても、やがては時代遅れになることを忘れてはならない。』『いまある製品のライフ・サイクルを超えて、会社として変化し、発展し続ける力があるかぎり、時代遅れにはならない。』※
つまり、利益の追求に貪欲な企業であり続けながら永続的に成長できる企業がビジョナリー・カンパニーと私は考えます。
「Visionary 2030」では、「営業利益2,000億円」を数値目標としています。売上目標を掲げない理由は、先に述べた通り、売上至上主義からの脱却と利益重視の戦略へのシフトを表しています。この先も起こりうる環境変化に対し、当社グループは顧客最優先主義に基づいてビジネスモデルを柔軟に変化させ、営業利益を追求していくことで企業価値の最大化を図ってまいります。
そして、「Visionary 2025」の3カ年計画では、売上高2兆円、営業利益1,200億円を目標とし、利益成長率を10%以上に据え、ポストコロナ時代における変化対応によって成長し続ける方針です。これらの計画は、当社グループがいかなる時代にも永続的に成長し続ける「ビジョナリー・カンパニー」になることを目指しています。
その実現に向け、国内事業では会員数1,000万人を突破したmajicaアプリを活用し、商品開発から販促、販売、決済まで、お客様の変化したニーズや購買行動に適応した新たなバリューチェーンの構築してまいります。
海外事業では、 日本の農畜水産物の生産者・関係者と当社の会員組織「PPIC(ピック)」を軸にサプライチェーンの進化を図り、アジアのみならず北米でもジャパンブランド・スペシャリティストアとしての業態を展開していく予定です。また、アジアでは積極的な新規出店に加え、2021年よりスタートした当社グループ初の物販飲食事業の展開を加速させるなど、ポートフォリオの拡大を進めてまいります。
最後に、ESGの領域では、気候変動への対応強化や、サプライチェーンを通じた社会・環境課題の解決、多様性を認め合うダイバーシティ型組織の確立など、持続可能な社会と企業の実現に向け、引き続き取り組みを推進してまいります。
今後とも一層のご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
※【引用・参考文献】 ジェームズ・C・コリンズ/ジェリー・I・ポラス著『ビジョナリーカンパニー時代を超える生存の原則』山岡洋一訳(日経BPマーケティング、1995年9月29日発行)、51頁。
2022年9月
代表取締役社長 CEO 吉田 直樹
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