国内戦略

国内ポートフォリオ経営の進化

国内事業パフォーマンスレビュー

2021年6月期 PPIHグループは、コロナ禍でもポートフォリオ経営により安定的に成長し、売上・営業利益・当期純利益で過去最高を更新しました。国内ポートフォリオ経営の一層の進化を図り、苦戦した都心立地のピュアドンキの再生と、激戦化するGMS業態の生き残り戦略に注力していきます。

国内ディスカウントストア事業

国内ディスカウントストア事業 売上高1兆511億円 営業利益220億円

GMS事業

GMS事業 売上高4,926億円 営業利益289億円
国内戦略ハイライト
国内ディスカウントストア事業の進化に向けて

新型コロナウイルスの感染拡大による社会変化、それに伴う顧客ニーズの多様化。このような環境変化に対応していくために店舗コンセプトの再定義を含む事業進化に向けて、「100日プロジェクト」で仮説検証サイクルを強化。

「NEXTドンキ」のイメージと消費者行動の変化の対応として展開しているお酒ドンキ・お菓子ドンキなど、専門店に対する大きな手応え。

PB(プライベート/ピープルブランド)強化による差別化の促進

他社との差別化、お客さまの来店促進を図り、アイテム絞り込み等で、粗利ミックス最適化をめざす。

お客さまの求める「楽しさ」「美味しさ」「おしゃれさ」「便利さ」を形にする「ピープルブランド」へ変革。

PPIHを支える新たな「国内組織体制」と「働き方の改革」

125名の支社長をフォローするアンサーマン本部を発足させるなどミリオンスター制度をさらに充実。売上高・営業利益の貢献の観点からその特徴を解説。

※上記数値出典元:PPIH2021年6月期本決算説明会資料

取締役 兼 常務執行役員 経営戦略本部長 兼経営会議事務局長 森屋秀樹

国内事業では当期(2021年6月期)、国内ディスカウントストア事業が新たに導入したミリオンスター制度により商圏ごとに柔軟な運営が可能となったことなどが奏功し、郊外店舗を中心に健闘しました。アフターコロナを見据えた新しい事業のあり方について仮説検証の取り組みも開始しています。一方、GMS事業では、中核となるユニーが他社比較で大きく成長し、グループの業績に貢献しました。コロナの影響は業態・立地により異なりますが、結果として国内ポートフォリオの強みを活かすことができたと考えています。

国内ディスカウントストア事業の進化に向けて
「100日プロジェクト」で仮説検証サイクルを強化

取締役 兼 常務執行役員 経営戦略本部長 兼経営会議事務局長 森屋秀樹

国内事業としてポートフォリオが機能した一方、新型コロナウイルスの感染拡大を機にインバウンド需要の消滅や外出・イベント自粛の長期化、お客さまの消費行動の変容など急速な変化が同時並行して起こり、店舗運営に大きな影響を及ぼしました。
今後もこのような環境変化に対応していくために、特にディスカウントストア事業においては店舗コンセプトの再定義を含む事業進化が不可欠と認識しています。
これまでドン・キホーテは便利(Convenience)、安い(Discount)、楽しい(Amusement)を店舗コンセプトに、「何でも揃っていて便利」「他の店より絶対的に安い」「魔境感があり宝探しのようで楽しい」というユニークな売り場づくりで成長してきました。しかし、今後は従来の「CV+D+A」の定義を「本当に欲しいものがあるから便利」「自分の感じる価値に対して安いと感じる」「宝探しや魔境感だけではない楽しさ」と捉え直した上で、時流に合わせたMDあるいは新業態を提案していかなければなりません。
その第一歩として新しい店づくりをどうすべきかを見極める「100日プロジェクト」を立ち上げ、仮説の真偽を確かめる実験と観察を行いました。プロジェクトの結果を踏まえ、以下の主要戦略に基づく取り組みがスタートしています。

強みを発揮できるカテゴリーの深掘りと強化

例えばドンキが寡占的なシェアを獲得しているカラーコンタクトのように、「『**』を買うならドンキ」とイメージされるもの、来店のフックとなるカテゴリーに特化した店づくりをめざし、「肉ドンキ」をはじめとして「コスメドンキ」「お菓子ドンキ」「お酒ドンキ」を試験展開しています。特化したフォーマットで店づくりができれば、総合ディスカウント業態では難しかったモールへの出店も可能になり、売上・利益への貢献が見込めると考えています。

PB(プライベートブランド)強化による差別化の促進

他社との差別化、お客さまの来店促進を図り、ドン・キホーテのPB「情熱価格」で食品、日用消耗品、家電製品、衣料品を中心とする定番商品のリニューアルと差別化商品の開発を進めます。PB/OEMの販売目標を2022年6月期2,500億円とし、中長期的な利益率の向上につなげていきたいと考えています。

地域一番店をめざす現場主導の改革

お客さまニーズへのきめ細かい対応、価格競争力の強化など立地エリアに応じた現場主導の改善・改革の促進を図り、100万人商圏につき1名の支社長が商圏内でドン・キホーテ、長崎屋、UDリテールという複数法人の店舗を統括するミリオンスター制度がスタートしました。法人の垣根を越えて支社長にあらゆる権限を委譲し、各店舗が競合対抗力を強めて地域一番店をめざすことで、事業成長していきます。

GMS事業の成長を加速メリハリある売り場づくりで収益向上に貢献

GMS事業では、新戦略「New GMS」構想に基づき、ユニーのディスカウント業態への転換を行わず、店舗運営の刷新により新しいGMS業態の創出を進めます。New GMSでは、従来の総花的な品揃えから特定カテゴリーに絞って専門店レベルの品揃えを実現するMDの転換を図り来店の促進、店舗収益の最大化につなげます。またMD戦略の一つとして、New GMSの中にテナントとしてドン・キホーテの新業態を入れ込む実験を進めており、これも効果が見えたところから本格展開していく予定です。
こうしたリニューアル、あるいはテナントイン型で、GMS事業の一層の発展を追求していきます。

デジタル・データ戦略は実装フェーズへ顧客理解に努め、
事業の持続的成長へつなげる

取締役 兼 常務執行役員 経営戦略本部長 兼経営会議事務局長 森屋秀樹

デジタル・データ戦略は、これまでの試験的な取り組みから得た知見をもとに、事業の中に実装して活用していくフェーズへと移行しました。組織の新設・再編を行い、「顧客接点」の改善、「顧客理解」の改善、「顧客体験」の改善をめざします。
具体的には、まず店舗内外を問わずオフライン・オンラインで商品の検索・購買・決済ができるシームレスなチャネルを提供します。
現在、商品・顧客情報を一元管理するインフラ基盤を構築中で、2022年5月にはお客さまの利便性向上とともに、顧客接点の創出を実現する新サービス「New majica」を開始する予定です。この新サービスを活用し、購買履歴など顧客情報の収集・分析を進めることで一層の顧客理解に努め、グループ事業の継続的な進化につなげていきます。

PPIHを支える新たな「国内組織体制」と「働き方の改革」

国内組織体制 100万人商圏×125名の支社長×アンサーマン本部

PPIHグループでは、2020年9月から一人の支社長が100万人の商圏を統括するミリオンスター制度を導入しています。ドン・キホーテ、長崎屋、UDリテールという法人の枠を越えて、さまざまな権限を委譲されたミリオンスターと呼ばれる支社長が管轄商圏の2~5店舗を運営する制度です。これまでの、支社長一人が約30店舗を担当していた制度と比べ、商圏の特性をより詳細に把握し、消費者行動の変化に迅速に対応できる体制になり、現在では125名のミリオンスターが現場で活躍しています。ミリオンスターは一人の経営者であり、実質的な上司は存在しないため、2021年2月、彼らをサポートするアンサーマン本部を設置しました。具体的な営業活動や店舗マネジメント、精神面においてもミリオンスターの活動を支援しています。

100万人の商圏
「働き方の改革」で、魅力的な売り場構築に注力できるよう店舗業務を効率化

PPIHグループは、企業原理である「顧客最優先主義」を市場の急激な変化の中にあってもさらに進化させていくために、下図の5つの施策を中心に店舗における業務を効率化し、スポット商談、競合調査、プライシング、商品ディスプレイ等に充てる時間を増やすことで、魅力的な売り場を構築しています。

生産性向上のための5つの施策

海外戦略

2024年6月期に売上高3,000億円をめざす

海外事業パフォーマンスレビュー

2021年6月期は、アジアでの出店と北米M&Aで海外成長が加速し、海外リテールの売上高は1.8倍、営業利益もアジアが黒字化し3.8倍に拡大しました。次期はアジアで12店舗程度を新規出店し、引き続き積極的な事業拡大を推し進めるとともに、事業モデルを支えるPPICは、アジアのみならず北米へも商品供給を拡大するなど取り組みを強化していきます。

アジア事業

アジア事業 売上高501億円 営業利益34億円

北米事業

北米事業 売上高1,198億円 営業利益81億円 海外戦略ハイライト
生産者・関係団体との連携で2030年には
農畜水産物の海外輸出額3,000億円の達成をめざす

取扱品目の拡充・調達規模の拡大を目的としたバリューチェーンを構築し、購入しやすい手頃な価格で提供できる環境整備を進める。

アジアへの出店加速により2024年に向けて盤石な体制を築く

コロナ禍の影響で総菜だけでなく野菜・肉など食材の需要が高まり、今後は容易に調理可能な食料品にも注力。ECによるデリバリー需要にも応えていくためデリバリーサービス各社との協力も進めている。

※上記数値出典元:PPIH2021年6月期本決算説明会資料

取締役 兼 常務執行役員CMO(Global)海外事業統括責任者 松元和博

当期(2021年6月期)、海外事業では、アジアにおいて積極出店による売上拡大に加え、日本からの一次産品を直接輸出して収益性を高めたこと、また北米でコロナ禍の外食の代替需要を捉え顧客層が拡大したことなどから、いずれも増収増益となり、全体として売上高1,699億円、営業利益115億円と過去最高の業績を達成。初の海外進出から15年─PPIHグループのグローバルな事業ポートフォリオ構築、持続的成長を実現するための基盤づくりは着実に進んでいます。

米国ハワイでのM&Aからスタートした海外事業

PPIHグループの海外事業は2006年、米国ハワイ州にあるダイエーの店舗をDon Quijote USAとして連結子会社化したところから始まります。その後もハワイ・カリフォルニア州を中心に展開するスーパーマーケットを取得。米国事業として取得した店舗のインフラを引き継ぎつつ、改装・商品構成の拡充など適宜実施することでローカルのお客さまから愛される、地域に根差した店舗として発展してきました。
一方アジア事業については2017年、日本製品もしくは日本市場向けの商品を扱う「ジャパンブランド・スペシャリティストア」をコンセプトとするDON DON DONKIのシンガポール初出店がスタートとなります。以降、アジア諸国・香港・台湾とDON DON DONKIの出店を加速。サツマイモ・桃・イチゴなどの農産物、和牛などの畜産物、マグロ・ウニ・ホタテなどの水産物を中心とした日本の「食」を提供し、現地のお客さまから高い評価をいただいています。

国内生産者と輸出拡大に向けたパートナーシップ組織を発足

取締役 兼 常務執行役員CMO(Global)海外事業統括責任者 松元和博

PPIHグループでは、中期経営計画において2024年に海外売上高3,000億円という目標を掲げています。この目標達成に向けた海外事業の新しい取り組みとして、2020年10月には日本の農畜水産物の輸出拡大に向けた生産者とのパートナーシップ組織「Pan Pacific International Club(PPIC:ピック)」を発足しました。
グループが成長するために不可欠なドライバーと位置づけるアジアのDON DON DONKIでは、生鮮4品(青果・鮮魚・精肉・総菜)を含む食品が売上の8割以上を占める主要製品です。中でも日本の食品は現地ファン獲得の大きな要因になっています。
このため高品質として定評があるジャパンブランド・スペシャリティの食品・食材の安定確保が、事業拡大を図っていく上でグループ喫緊の課題となっていました。
PPICは、PPIHグループ海外店舗への輸出を希望する生産者・関連団体で構成される会員制組織です。PPIHとしては会員の拡大により商品を安定的に確保できる一方、会員さまにはPPIHとの直接取引で安定した出荷先の確保が可能となります。さらに、海外マーケット情報が提供されるため、作付け・製造の計画が立てやすくなるといったメリットがあります。
PPIHグループでは、生産者・関係団体との連携により農畜水産物の輸出拡大を支援し、取扱品目の拡充・調達規模の拡大を図ります。川上から川下まで一貫したバリューチェーンの構築や、魅力的な商品を海外でも購入しやすい手頃な価格で提供できる環境整備を進めていきます。2030年には農畜水産物の海外輸出額3,000億円の達成をめざします。また将来的には加工品・非食品など農畜水産物以外にも輸出を拡大していく予定です。

PPICの構造

2021年6月期はアジア・北米事業とも増収増益を達成

2021年6月期は、アジア・北米事業ともコロナ禍を追い風に増収増益となりました。
アジア事業ではPPICによる「日本から一次産品を直接輸出することで収益性を高める」モデルが確立しつつあります。当期は日本食品の販売が収益向上に貢献し、初の黒字を達成することができました。香港で5店舗をオープンしたほか、台湾、マレーシアでの初出店を含め計8店舗を新規出店するなどジャパンブランド・スペシャリティストアとしての人気と知名度を高めることができたと考えています。
北米事業では、2021年4月にカリフォルニア州で27店舗を展開する老舗スーパーGelson’ s(ゲルソンズ)の持株会社GRCYホールディングスを取得し、Gelson’ sが連結に加わったことにより第4四半期は売上が大きく伸びました。
また、新しい取り組みとして、2020年12月からShopee(ショッピー)、Grab(グラブ)、Deliveroo(デリバルー)、Instacart(インスタカート)のデリバリーサービス各社と提携しアジア・米国の店舗で宅配サービスを開始しました。非接触での買い物ニーズは海外でも高まっており、導入地域・店舗の拡大とともに、Curbside Pickup(カーブサイド・ピックアップ:ネットで注文して店舗で受け取る仕組み)も導入し、オムニチャネル化で新規顧客を獲得していきたいと考えています。

存在感を高め、グローバル企業としての成長に貢献

取締役 兼 常務執行役員CMO(Global)海外事業統括責任者 松元和博

すでにスタートしている2022年6月期については、アジア事業ではシンガポール、マレーシアなど既出店国で出店を強化するとともに、新たにマカオに進出するなど計12店舗ほどの新規出店を予定しています。
また、日本食文化をさらに発信し、浸透させていく取り組みとして、日本産米のおにぎり、高級生食パンなどの展開も計画しています。
北米事業では新規出店の予定はなく、既存店舗の改装などにより、さらなる売上の積み増しを図ります。新規に取得したGelson’ sは白人富裕層を対象とし、日本でも広く知られるWhole Foods(ホールフーズ)やTrader Joe’ s(トレーダージョーズ)の上位に位置するプレミアムスーパーです。今後の既存事業とのシナジー、業態転換については検討チームを編成し、時間をかけてPMI(買収後の統合プロセス)を成功に導いていく方針です。既存顧客の高齢化が進む中、課題は新規顧客の獲得であり、ミレニアル世代・Z世代など次世代顧客の取込みが鍵になると見ています。またPPICについても、アジアのみならず北米へも商品供給を拡大するなど取り組みを強化していきます。
海外事業では、2024年に海外売上高3,000億円という数字をマイルストーンと捉え、2030年の1兆円体制確立という中長期の目標に取り組んでいます。長期の視点でアジア・環太平洋地域における出店を進め、ジャパンブランドを中心とする独自業態の創造、企画・製造・物流・販売を垂直統合的に管理する「食のSPA化」を推し進めます。世界に広がるグローバル企業として、PPIHグループの持続的な成長に貢献していきたいと考えています。

財務戦略

取締役 兼 執行役員CFO財務・IR管掌 清水敬太

2021年4月に執行役員CFOに就任し、9月に取締役に任命いただきました。財務戦略の立案から執行までを担う責任者として、機動的な投資による事業拡大と資本効率の向上という、2つのミッションに対する取り組みを進め、グループの持続的な成長、企業価値向上に貢献していきたいと考えています。

ポートフォリオ経営が生み出した安定的成長
─ 32期連続で増収増益を達成

PPIHグループは2021年6月期連結決算において売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益が過去最高を更新し、32期連続となる増収営業増益を達成することができました。従来からの主力であるディスカウントストア事業はコロナ禍の影響を大きく受けたものの、買収後に経営改革を進めてきたGMS事業、さらには海外事業がけん引し実現された結果であることを考えれば、PPIHが推進してきたポートフォリオ経営が大きな実を結んだ一年であったと言えます。「ドン・キホーテ」のみで語られることもあった当社に対する認識が変わるきっかけとなるでしょうし、当社からの発信もよりグループ全体、ポートフォリオ全体を意識したものにしていきたいと思います。

資本効率を意識した経営で「Passion2030」の達成に取り組む

PPIHグループでは、2019年6月期に1年前倒しで売上高1兆円を達成した後、2020年2月には中長期経営計画として「Passion2030」を発表しました。売上高を3兆円、営業利益を2千億円へと増大させる野心的な目標であり、この達成に向けては先に触れたポートフォリオ経営のさらなる拡充、発展が不可欠となることは言うまでもありません。
とは言え資金は無限にはありませんので、これは同時に資本効率がこれまで以上に重要となることも意味します。どの事業に資金投下していくか、逆に効率的に活用されていない投下資本についてはどう対処するか。コーポレートガバナンス・コードの改訂においても資本効率への意識が強く求められていることも踏まえ、中期的なアセットアロケーションについての議論を社内で深め、次の中期計画(3年程度)において実現していきたいと考えています。

積極的なIR活動によりポテンシャルを訴求
─「機関投資家」に加え、「個人投資家」や
「ESG」といった新たな軸も強化

取締役 兼 執行役員CFO財務・IR管掌 清水敬太

CFOとしては、当社の成長性をより丁寧に、積極的に発信することで企業価値のさらなる向上に努めていきたいと考えています。具体的には、メインである「機関投資家」との対話強化に加え、新たに「個人投資家」への発信も増やすとともに、社会的注目の高まる「ESG」の要素についてもさまざまな場面で発信していく所存です。
機関投資家向けの強化としては、事業全体の「薄く広い」説明に留まらないよう、例えば国内におけるGMS改革の成果や、海外におけるジャパンブランド・スペシャリティストアの発展といった中長期の成長ストーリーにフォーカスした発信の場を持つことで、より理解を深めていただくことを想定しています。
さらに、当社の個人株主比率は1.6%と、同業他社に比べかなり低い水準に留まる現状があります。個人投資家とは、小売業にとって日常的に接点を持つ「お客さま」であり、PPIHとしても「ファン株主を増やす」「安定株主を増やす」などの観点から個人株主比率の向上をめざしアプローチする必要があると考えています。
加えて、企業のE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)への対応を投資判断に行う「ESG投資」が今後も拡大するとの見通しから、PPIHとしてもESGに配慮した経営姿勢を打ち出していく必要があります。このため経営戦略と紐づいた重要課題(サステナビリティマテリアリティ)への取り組み強化と情報開示の充実、社会的責任投資を踏まえたESG情報の拡充などに積極的に取り組んでいく考えです。

各委員会の創設によりスピーディーに活動強化を実現

先述の通り、PPIHにとってサステナビリティの推進は極めて重要な経営課題となっています。このため2020年に発表した中長期経営計画においてE(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)それぞれの領域でマテリアリティ(重要課題)を特定するとともに、同年11月にD&Iに取り組む「ダイバーシティ・マネジメント委員会」、2021年1月に「指名・報酬委員会」、そして2021年7月には環境対策やSCMの活動に取り組む「サステナビリティ委員会」などを順次新設して取り組みを強化してまいりました。これにより十分な推進体制が整ったことから、今年度より委員会横断の全社的な議論もスタートしております。全役員を対象としたESG研修会も実施するなど、経営から現場までグループ一体となった活動になりつつありますので、ステークホルダーの皆さまにはぜひご期待いただきたいと思います。

10年後の長期目標達成に向け設備投資を拡大
─ アフターコロナで成長加速を図る

2022年6月期については、コロナ禍の影響により事業環境は不透明な状況が続くと考えていますが、設備投資については2020年6月期の投資がそれほど多くなかったことを踏まえ、国内外の新規出店・改装、DX推進などで750億円の投資を予定しています。投資の拡大により将来の事業機会を捉え、しっかりと成長を加速していきたいと考えています。