PPIHグループのビジネスモデル

デジタル戦略

外部企業との協業によるDXの推進 マシュマロ

デジタルの活用は小売業の新たな時代への対応

PPIHグループは、企業原理である「顧客最優先主義」を市場の急激な変化の中にあってもさらに進化させていくために、デジタルテクノロジーへの取り組みを強化します。PPIHグループの強みであるエンターテインメント性あふれる店舗運営や商品施策に加えさまざまな経験や知見を持つ外部の企業などと共同で行う、これまでとは異なる手法の「マシュマロ*構想」をスタートさせています。これは、小売業の新たな時代への対応、より良い店舗体験、お客さま理解を深めるための取り組みです。
 当社グループの完全子会社である株式会社マシュマロは、PPIHグループと最新デジタルテクノロジーとの融合の橋渡し役となり、オープンイノベーションを推進します。外部のあらゆるリソースを活用し、「プライシングの最適化」「消費者ニーズ分析」「新たな金融サービス」など、PPIHグループの強みを最大限に活かした時代への変化対応体制をつくり上げます。
 不確実性が増す環境下でさらなる成長をめざすために、企業文化である「仮説と検証の繰り返し」「たくさんの挑戦」を外部企業との協業を通じて実現し、新たな時代への対応策を構築します。

* 柔らかい頭をもって、PPIHグループのみの特定のカラーに染まっていない新しい価値観を受け入れ、そして何よりもそのことにより消費者に喜んでもらえるPPIHグループの新しい取り組みにしたいという構想を、白くて柔らかいマシュマロのイメージになぞらえたもの

PPIHグループにとっての「デジタル」の位置付け・意義
マシュマロ構想の概要

今後の成長に向けては、社内外を問わずさまざまな価値観や考え方を持ち合わせた方々との協業が必須であると考え、新たな「色」を取り入れることで多様性の尊重を表現しています。

ブルーマシュマロプロジェクト

CMIOメッセージ

CMIOメッセージ

1999年に株式会社ドン・キホーテ入社以降、一貫して営業に携わってきましたが、2020年に株式会社マシュマロの取締役に就任し、2020年7月からCMIOとしてマーケティング及び事業統合担当としてデジタルという新たな分野にチャレンジしています。DX(デジタルトランスフォーメーション)を私と佃の二人三脚の体制で推進する中で、デジタル化の取り組みなどを現場店舗にわかりやすい形でつないでいくこと(インテグレーション)が、私のミッションと認識しています。PPIHグループのDXは、さらなる顧客理解の深耕と現場支援を果たすツールと位置付けており、営業や店舗スタッフの生産性向上に貢献し、利益の向上につなげていくことがその目的です。デジタル化では、現場のオペレーション(発注時間)等のシステム化により空いた時間を、接客や商品陳列、メイトさんとの対話、他社の価格調査など、より強い現場をつくる支援のために活用することが重要です。2021年6月期においては、プライシング戦略を拡大していき、一次商圏での競争力を高めていきます。また、majicaアプリ会員を増やし、利用促進や定着率を上げ、顧客のLTV(ライフタイムバリュー)の向上をめざしていきます。
 CMIOとして感じていることは、デジタル化の取り組みは日々の数値ではすぐに結果が見えないため、現場への落とし込みにあたって説得が難しいということです。この点は、私自身が営業として携わってきたことによるジレンマですが、変化対応力こそが当社グループの強みです。今までに培った力を持って、自身のマインドも変化させ、DXの推進に積極的に挑戦していきます。

CDOメッセージ

CDOメッセージ

私は、2020年3月にPPIHグループの株式会社マシュマロに代表取締役社長として入社しました。私の強みは、小売とWEB(デジタル)の両方の事業立ち上げや拡大に携わってきたことです。これらを活かして、これまで小売業として勝ち残ってきた当社の強みや良さ、そして企業のカルチャーを理解しながらDXを起動させ、本当の意味でPPIHグループらしいDXを実現したいと考えています。
 PPIHグループにおけるDXという言葉には、データベース構築、データ分析、デジタルマーケティング、アプリ開発、Eコマースの立ち上げ、システム化による業務改善など多岐にわたるさまざまな取り組み内容が含まれています。しかしながら、そのどれもが従来のPPIHグループにおいては中核となる取り組みではなかったため、DXを進めようとする今、推進する組織や関わる仲間といった人財が圧倒的に足りないということが最大の課題と考えています。社内からの公募チャレンジや社外からの採用など、スピード感を持って人財を拡充することが、DXの成功のために必要不可欠だと考えています。
 過去に私が小売店を立ち上げる際に背中を追いかけた憧れのドン・キホーテを擁するPPIHグループが、DXという新たなチャレンジをする大きな変革のタイミングで参画できたことをとても光栄に感じています。現在は、期待と不安が入り混じる中、手探りで試行錯誤を進めている状況です。自分がこれまで経験してきたことを余すことなく投入し、失敗を恐れることなく新たなチャレンジをすることで、PPIHグループのデジタル領域における変化対応の一翼を担いたいと考えています。

戦略を実行する組織体制

事業軸、商品軸、ホールディングス軸の
「三軸」を設定

組織体制の改編による「変化対応力」の強化

2020年7月1日より発足した新組織体制は、従来の法人格にとらわれず、事業別の中身を最重要視し、グループ内企業の個別最適ではなく、PPIHグループの全体最適をめざしたものです。
 改編のポイントとしては、事業軸(カンパニー)、商品軸、ホールディングス軸の「三軸」を設定し大きな権限を委譲していることと、この「三軸」の責任者(執行役員)で構成される経営会議の新設が挙げられます。事業軸にはプレジデント、商品軸にはCMOを置き、それぞれが営業トップの役割を担うことで意思決定の迅速化を図っています。ホールディングス軸は、全社横断的な機能及びガバナンス機能を有し、CSOを中心に経営戦略の策定、経営資源の配分、予算の策定及び進捗管理を行い、CMIO、CDOを中心にマーケティング、デジタル等のグループ全体の戦略を遂行します。「三軸」体制の機能の充実と経営会議の導入によるガバナンスの強化は、迅速な意思決定と、執行役員の自由闊達な意見を取り入れ、次世代の経営層のさらなる強化にも資すると考えています。また、経営陣のみならず、現場への権限委譲も進め、優れたリーダーを年齢や経験にかかわらず抜擢していきます。
 さらに、当社グループならではの特徴である行動指針「源流」を当社グループの柱として徹底すべく、8名の執行役員によって運営する源流推進本部を、独立した組織として新たに設立しました。大きな変化の時代においても、新たな組織体制を構築することにより、当社グループの「変化対応力」を強化していきます。

CMO
:Chief Merchandising Officer
CSO
:Chief Strategy Officer
CMIO
:Chief Marketing & Integration Officer
CDO
:Chief Digital Officer
三軸

創業スピリッツを取り戻す「ミリオンスター制度」による
権限委譲のさらなる進化

カンパニー制の導入によりシンプルな組織になりましたが、さらなる変革のために、ミリオンスター制度を開始しました。これは、当社グループの原点回帰を目的とした、創業スピリッツを取り戻すための施策です。
 ドン・キホーテ、長崎屋及びUDリテールという法人の垣根を越えて、100万人商圏につき1名の支社長が102の商圏で営業を統括します。執行役員のすぐ下の階層に102人の支社長を配置することで、完全な権限委譲を実現するとともに、エリア全体の収支を高めることが目的です。以前の20支社体制では支社長の管轄店舗が約25店舗となり、1人ですべての店舗の運営・経営に目を配っていくのは困難になっていたことから、今回の1人当たり3~6店舗の管轄に軌道修正を図りました。新支社長に上司はおらず、100万人の商圏、100億円の年商を持つエリアの社長として、完全に権限が委譲されます。利益貢献の上位者は高額な報酬を得る一方で、下位20%は1年ごとに入れ替えを行うというアップ・オア・アウトの仕組みも取り入れているドラスティックな制度でもあります。本制度による各種数字の「見える化」を行う一方で、数字至上主義による法令や源流違反などがないように、チェック機能やフォロー体制の整備も行っていきます。
 今後、稼働していく中でさまざまな課題や問題が出てくるかもしれませんが、CEOを中心に経営陣一体となって全力でこの革新的な制度に取り組み、支社長が力を発揮できるようにサポートしていきます。
 さらに、この「ミリオンスター制度」のもと、ドン・キホーテ初となる女性支社長と、27歳という若さでの支社長が誕生しています。ダイバーシティの推進を進める当社グループ全体にとって、大きなステップでもあります。本制度を通じて、実力をもった当社の人財が活躍できるような好循環を生み出すシステムをつくっていきます。

ミリオンスター制度
20の商圏を102の商圏に細分化、新たに102人の支社長が誕生

PPIHグループの人財育成

PPIHグループのDNA

~顧客最優先主義を貫く権限委譲~
顧客最優先主義を貫く権限委譲
店舗従業員へ権限委譲 店舗従業員へ権限委譲

常に挑戦し、失敗を容認する企業文化

PPIHグループは、全員が常に挑戦を続けている職場だからこそ、良い競争風土が根付いています。お客さまのために挑戦できる人が、成功できる人であり、実力主義の徹底により、その結果に応じたポジション、評価を手に入れることができます。
 また、当社グループには「失敗を容認する企業文化」が根付いています。どんなに失敗しても、その失敗を力に変え行動できる人財が、変革を起こすことのできる人財です。入社後、店舗に配属された従業員のつくった売り場がたとえ赤字になったとしても、失敗をとがめることはありません。当社グループは、失敗による損失を「教育コスト」と捉えています。
 このような環境で、失敗しながら積み重ねた成功体験をもった当社グループの従業員は、お客さまのために変革を起こすことのできる「はらわた*力」を持った人財として成長していきます。

* 現実社会で直面するさまざまな土壇場を乗り越え、自己実現の執念や想いを成し遂げるためにもがき苦しむ力であり、紆余曲折しながら最後に這い上がろうとする一念のこと。

人は育てるものではなく、自ら育つもの

人財育成においては、「教育」「共育」「競育」の3つの概念を大切にしています。業務に必要な最低限の知識や最小限のルールを学んだ後は、実践を通じて成長していきます。個性や価値観の異なるさまざまな従業員とともに働くことで、自身の視野を広げながら、完全実力主義の人事評価制度のもと、互いに切磋琢磨してスキルを磨いていきます。

「教育」「共育」「競育」 「教育」「共育」「競育」

ユニーの人財における取り組み

ユニーの今まで培った人財育成ノウハウを活かしつつ、PPIHグループの源流経営の思想を取り込み、店舗業態の変革のみならず、意識面での変革も図っています。

主な取り組み 主な取り組み

グループ一体化に向けた「源流」の浸透

「源流」とは、当社グループの全従業員、役員が遵守すべき企業原理と経営理念を定めて明文化したもので、グループ従業員の行動規範や、パートナーさまとの在るべき関係の構築など、創業当時から息づくドンキイズムとDNAが余すところなく記されています。
 当社グループの喫緊の課題は、新たにグループに加わったユニー社員と一体となり、同じ使命に向けてともに成長していくことです。2019年2月に新たに「源流推進本部」を設置し、「源流」のさらなる理解浸透を目的とした研修を継続的に実施。「源流」を真に理解してもらうことで、同じグループ社員としての意識と団結力を高めています。

メイトの評価制度を改革

ユニーにおいても、従来のチェーンストア経営から個店経営への転換という変化に合わせ、2020年、社員とメイト*の評価制度を改革しました。今回の評価制度は、根本から考え方を変えたもので、ドン・キホーテや長崎屋と同じ「実力主義」への転換が図られています。ボーナスについても、これまでは短時間のメイトには支給されていませんでしたが、年齢や契約期間に関係なく、一定の評価を得た人財を対象に支払うこととしました。PPIHグループが、今後も顧客最優先主義を貫いていくためには、最前線で活躍を続けるメイトの力が必要です。少しでも働きやすく、力を発揮できる環境のために、今後も改善に向けた創意工夫を行っていきます。

* アルバイト従業員

ウェルカムバック採用

ウェルカムバック採用とは、結婚・出産・育児・介護など、やむを得ない事情や転職・留学などのキャリアアップを理由に新しい道を選んだ方(卒業生)に、培った知識や経験・スキルを活かし、再びPPIHグループで活躍していただくための人事制度です。
 2019年12月からは、グループ会社のユニーでもスタートしています。

再入社したユニー社員の声